収入計画の中で重要なのは患者数が何人見込めるのか(需要予測)です。
そのために開業立地診療圏分析は、重要なファクターです。
地価が安い、前から持っているからでは開業後十分な収入を見込めません。
主な検討項目は次のとおりですが、各項目はお互いに関連しているので十分に検討しましょう。
■診療圏立地診断(診療圏分析)のポイント
診療圏の線引き(想定診療圏を描く)するには紙地図をどれだけ汚せるかがキーポイントになり、その手順は次のようになります。
◆自院の医院開業候補地に打点をする
◆コンパスで、500m、1km、1.5kmの目安の円線を引く
◆競合他院の場所に打点する
◆自院に通じる導線(道路、鉄道など診療圏内の患者さんが自院に近づくために利用する通路:診療圏側からの発想が大切)に着色する
◆そこを通らないと行けない個所(踏切、橋、高架橋、アンダーパス等)に丸印をつける
◆バリア(分断要素)を塗りつぶす
◆人口の張り付きのないエリアも塗りつぶす
◆マグネット(吸引要素)に印をつける
◆マグネットから目安の円線に接するように直線(矢印)を引く
◆診療圏は矢印の向きと反対側大きく広がる(真円にはならない)
◆診療圏外郭線を引く
■想定診療圏が引けたら診療圏内の実地調査に行きましょう
◆診療圏外郭線の際(きわ)を検証する
◆診療圏内の医療事情を住民からヒヤリングする
◆競合他院の診療時間帯、患者の込み具合などをリサーチする
◆実地調査で得たデータを基に診療圏外郭線を見直し診療圏を確定する
以上の作業が終了したら住民基本台帳より診療圏内人口を確定し受療率を掛算する事によって診療圏内の顕在患者数を算出することができます。
机上と実地調査をすり合わせすることによって、候補地は医院経営が成り立つ立地であるかを冷静に判断します。
医院開業を後悔しないためにも、しっかりした立地診断が必要になります。単なる無料の診療圏分析で判断するほど成功する医院開業は望めないのです。
■収入予測の立て方
収入を予測するには、しっかりした立地診断(診療圏分析)による需要予測が必要です。
需要予測とは、自院の診療圏に何人の顕在患者(受療率から算出した患者数)がいて競合他院との引き合いによって自院のシェアが何%見込めるかによって患者数を予測します。
調査項目、算出手法は下記のようになります。
◆立地環境調査(医療機関としてふさわしい環境か?)
◆自院診療圏設定(真円にはならない)
◆診療圏内人口調査(直近の住民基本台帳)
◆競合他院医療機関調査(標榜診療科、診療時間帯、診療日数、医師数、看護師数)
◆診療圏内患者数算出
◆自院推計シェア算出
◆推計患者数算出(採算可能な患者数か?)
◆診療日数、診療単価を掛算し医業収入を算出する(医院経営が成り立つ医業収入か?)
全国医療情報検索サイト(競合他院リサーチに便利です)